足が浮腫んでるけど心不全が増悪している?
調子が悪そうだけど、心不全が原因?
入院中に患者さんが普段とは違う様子があれば、
すぐに医師や看護師に相談し、血液検査やエコー検査を受けることができますが、
外来や訪問の場面で、すぐに検査はできません。
外来や訪問のリハビリでは、フィジカルアセスメント【身体所見】によって、
心不全の状態を把握することがとても重要になります。
心不全の悪化所見を早期発見できれば、
医師や看護師など他職種と連携をとり、増悪予防を図れる可能性もあります。
この記事では、
心不全を把握するための、症状や身体所見についてまとめています。
日本における2021年の死亡原因の第2位は心疾患で、心不全は高齢化に伴い急増している疾患の一つです。
心不全はなにかをきっかけに急激に増悪し、入院や死亡にもつながる慢性疾患のため長期の管理が重要になります。
そのため、外来や訪問などの地域生活をしている方も日々のモニタリングやケアが大切になるため、
心不全のサインを早期発見・早期対応に活用しましょう。
この記事の結論として、
- 心不全の所見:発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、労作時の息切れ、Ⅲ音、頸静脈怒張、ラ音、下腿浮腫をチェック
- 心不全の所見は、うっ血と低心拍出を分けて考える
- うっ血の所見:ラ音、頸静脈怒張、起坐呼吸
- 低心拍出の所見:PPP<25%、SBP<90mmHg、四肢冷感、倦怠感
心不全の状態
心不全について簡単ですが概要をまとめます。
心不全の定義は、
なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群.
日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療
です。
うっ血と低心拍出
心不全の病態を血行動態でみると、
全身や肺に血液が滞るうっ血(congestion)と血液のポンプ機能不全による低拍出(low output)
の2つの病態があります。
- うっ血(congestion): 心ポンプ能の減衰により心室内の血液を駆出できず、拡張末期の心室内の圧力が下がらない状態
- 低拍出(low output):心ポンプ能の減衰により目的とする臓器に必要な血液量を駆出できない状態
うっ血には、肺循環で血液が滞る状態と体循環で血液が滞る状態の2種類があり、
出現する所見や症状が異なることがあります。
左心不全と右心不全
心不全は、体循環に関わる左心室と肺循環に関わる右心室から、左心不全と右心不全に区別できます。
- 左心不全:①全身臓器組織の低拍出、②左心室上流に位置する肺に生じる肺うっ血によって所見や症状が出現します。
- 全身の低拍出:末梢冷感、冷や汗、労作時の呼吸困難、尿量減少、易疲労性、倦怠感、意識障害など
- 肺うっ血:起坐呼吸や夜間発作性呼吸困難など
- 右心不全:全身の体静脈系に生じ大静脈系の圧上昇によってうっ血の症状や所見が出現する。左心不全の肺うっ血と比べ、体静脈血管の容量は大きいため症状の出現は遅いことが多い。
- 体静脈のうっ血:頸静脈怒張、下肢浮腫、胸水、腹水、肝腫大、消化器症状など
心不全の診断:フラミンガム基準
心不全の診断基準にフラミンガム基準があります2)。
フラミンガム基準をみるとわかるように、
心不全の診断では、呼吸困難や頸動脈怒張、ラ音など身体所見が多く含まれており、
フィジカルアセスメントの重要性がわかります。
リハビリで診断をすることはないですが、心不全のリスクを把握するためにも知っておくとよいですね。
心不全の身体所見
心不全で用いられる身体所見についてまとめます。
頸静脈怒張(jugular venous distention: JVD)
頸静脈怒張(JVD)は右心不全によるうっ血の所見です。
右心不全による全身のうっ血によって、末梢静脈圧が上昇されるため頸静脈の怒張が観察されます。
心不全のラ音(水泡音)
心不全では、聴診によって吸気時に水泡音(coarse crackle)を認めやすくなります。
これは、左心室のポンプ機能が低下して左心房圧が上昇し、
左心房と肺静脈に血液のうっ滞が起こり、肺にうっ血(肺水腫)を生じるためです。
下腿浮腫
浮腫は心不全、特にうっ血性心不全で特徴的な所見です。
静脈からの心拍出が障害されると、静脈圧が上昇し、浸出液が滲みだし浮腫となります。
浮腫は、疾患や障害がなくても様々な要因によって発生します。
そのため、浮腫=問題と判断せず、前日や前回評価時と比べて顕著に増加していないかを評価することが大切です。
前日や前回と比べて、急激に浮腫が悪化している場合は、心不全を疑いつつ慎重に検討しましょう。
心音Ⅲ音
心不全によって心室拡張障害(コンプライアンスの低下)が生じると、
拡張期の早期に心房から心室へ流入する血流が心室壁で急に阻害され正常とは異なる心音が発生します。
これが正常では聞こえない、Ⅲ音として聞こえます。
Ⅲ音は成人では重篤な心室機能不全を示唆しますが、
小児では正常でも聴取でき、40歳まで聞こえる人もいます。
Ⅲ音は低い低音であり、心音のⅠ音やⅡ音、呼吸音も聞こえるため、熟練しないと聴診が難しいとされています。
前屈による呼吸困難症状ベンダプニア
ベンダプニア(bendopnea)は、前屈姿勢になった際に出現する呼吸困難症状のことです3,6)。
前屈姿勢により胸腔内圧が上昇することで、左室拡張末期圧が上昇する(左心室が拡張期に広がりにくくなる)ため呼吸困難が生じると考えられています4)。
心不全の特にうっ血の所見であるとされています。
ベンダプニアは、簡便かつ短時間で評価できるため臨床でも活用しやすいです。
呼吸苦が出現すると不安に感じる患者さんも多いため事前に丁寧な説明が必要です。
ベンダプニアは、Pranataらの系統的レビューとメタ解析から、他の心疾患症状と関連することが報告されています7)。
また、心不全の重症クラスであるNYHA Ⅳ(OR 7.58)や死亡率の増加(OR 2.21)と有意に関連することが明らかとなっています。
ベンダプニアは重症心不全の特徴の一つですね。
心不全の身体所見と予後予測
心不全のフィジカルアセスメントは予後を予測する所見として有用です。
ここでは、研究を踏まえて心不全のフィジカルアセスメントと予後予測について紹介します。
以下、結論です。
心不全の症状や所見の数が多いほど予後不良
Wongらは、5010名の心不全患者を対象に臨床所見から予後を予測できるか調査しています8)。
その結果、
入院リスクは、無症状/軽症の人と比べ、
・中等度症状で1.32倍
・中等度~重度症状で2.20倍
・重度症状で3.85倍
も高かった。
死亡リスクは、無症状/軽症の人と比べ、
・中等度症状で1.40倍
・中等度~重度症状で2.00倍
・重度症状で3.79倍
も高かった。
と報告しており、重症であるほど予後が不良でした。
また、同じ研究の中で
ギャロップ音・浮腫・JVD・ラ音の4徴候の有無と予後について調査した結果、
入院リスクは、徴候がなかった人と比べ、
- 1徴候で1.60倍
- 2徴候で2.16倍
- 3徴候で2.63倍
- 4徴候で4.25倍
も高かった。
死亡リスクは、徴候がなかった人と比べ、
- 1徴候で有意な差はなし
- 2徴候で1.65倍
- 3徴候で2.18倍
- 4徴候で2.79倍
高かった。
4徴候の数が多いほど、入院や死亡率リスクが高くなると報告しています。
心不全の重症度やフィジカルアセスメントは予後予測に重要です。
また、日本人を対象としたNegiらの研究では、入院時のラ音とⅢ音が再入院リスクの予測に役立つか調査しています。9)
対象は心筋症と診断された急性心不全患者133名。
その結果、
再入院リスクと関連する因子は
- 入院時の肺ラ音:HR2.03
- 入院時のⅢ音:HR2.06
入院時の発作性夜間呼吸困難・起坐呼吸・JVDは関連を認めませんでした。
入院時のラ音とⅢ音の所見は、再入院リスク因子であり、急性心不全でのフィジカルアセスメントの重要性を述べています。
精度の高い心不全の身体所見
心不全に対してフィジカルアセスメントは重要ですが、
誤って解釈しないために評価の精度を知っておく必要があります。
ここでは、心不全のフィジカルアセスメントの評価精度について解説します。
以下、結論です。
心不全を判定する評価精度の一覧
- 労作時に息切れ:感度0.84/特異度0.34/陽性尤度比no data
- 起坐呼吸:感度0.50/特異度0.77/陽性尤度比1.3
- ギャロップ音,Ⅲ音:感度0.31/特異度0.99/陽性尤度比11.0
- ラ音:感度0.60/特異度0.78/陽性尤度比2.6
- 頸静脈怒張(JVD):感度0.39/特異度0.92/陽性尤度比4.3
- ベンダプニア:感度/特異度/陽性尤度比はno data
フィジカルアセスメントは精密検査とは異なり、陽性尤度比は比較的に低い。
そのため、感度が高い評価と特異度が高い評価をいくつか組み合わせて精度を補う必要があります。
Wangらは、救急外来を受診した呼吸困難患者を対象に、心不全か判定する所見を調査しました。10)
その結果、
心不全の可能性が高い所見は
- 肺静脈のうっ血(レントゲン所見)
- ギャロップ音(身体所見)
- 心不全の病歴
でした。
陽性尤度比は、肺静脈のうっ血所見が最も高く、次いでギャロップ音でした。
フィジカルアセスメントでは、ギャロップ音は心不全の判別に有用であることを報告しています。
また、そのほかのリスク因子や症状・所見では、
- 頸静脈怒張(JVD)
- 心房細動の病歴
が比較的、陽性尤度比が高かった。
リスク因子や所見は、どの項目も陽性尤度比が低いため、単発での判定は難しいと考えられます。
心不全かを検討する際には、必ず複数の因子や所見を確認しましょう。
また、Wangらの調査では、呼吸困難を主訴に受診した人を対象としている点に注意が必要です。
心不全患者の中でも肺うっ血症状が顕著な症例が集まっている可能性があります。
また、心不全の診断に関しては、本邦でも
日本内科学会雑誌にて香坂俊先生がまとめています。5)
自覚症状では、
- 発作性夜間呼吸困難と起坐呼吸は特異度が高い
- 労作時の息切れは感度が高い
心不全で労作時の息切れがある人は84%を認め、
心不全ではない人で、発作性夜間呼吸困難を認めない人は84%、起坐呼吸を認めない人は77%でした。
身体所見では、
Ⅲ音・JVD・ラ音・下腿浮腫は特異度が高い
上記の身体所見を認めた場合、高い確率で心不全と予想されます。
注意点として、Ⅲ音以外は陽性尤度比が低いため、単発での所見で判断することは難しいです。
必ず2つ以上の症状や所見を確認するようにしましょう。
座位にて体幹前屈で出現する呼吸困難症状(ベンドアプニア)に関しては、
感度や特異度の報告はまだ少ないですが、
簡便かつ判定もわかりやすい、そして短時間で判定できるため、臨床で活用しやすい評価です。
うっ血による心臓の拡張障害の所見として、ベンドアプニアも知っておきましょう。
心不全のうっ血と低心拍出の分類
血行動態の障害は簡単にまとめると、
- 血液を駆出できず静脈や毛細血管内に停滞している状態(うっ血)
- 十分な心拍出量を保てず目的の臓器に臓器に血流量を駆出できない状態(低心拍出)
の2つがあります。
うっ血と低心拍出の状態から血行動態を評価したものがForrester分類です。11)
Forrester分類では、肺うっ血と低心拍出の有無からⅠ~Ⅳ型の4つに分類しています。
肺うっ血や低心拍出を認めることで死亡率が高く、予後予測に重要な評価であることを示しています。
Forrester分類に、さらに症状や身体所見を加えて判断するNohria-Stevenson分類があります。12)
Nohria-Stevenson分類では、うっ血と低心拍出の所見の有無から、
うっ血所見があればWet、なければDry
低心拍出所見があればCold、なければWarm
として、組み合わせから4つに分類しています。
Nohria-Stevenson分類による、1年間での死亡や緊急移植のリスク比は、
- Warm & Dry:HR1.00
- Cold & Dry:有意な関連なし
- Warm & Wet:HR2.10, p=0.003
- Cold & Wet:HR3.66, p<0.001
と、Warm & WetとCold & Wetで有意にリスクが高くなると報告されています。
うっ血と低心拍出の所見による分類は予後予測に有用であることが示されました。
また、
Draznerらは、NYHAステージⅣの重症心不全患者194名を対象に、
Cold & Wetの所見と予後を調査しました。13)
その結果、
退院時にWarm & Dry群と比べ、
Cold & Wet群は、30日以内の死亡や再入院リスクが50%も高かった(HR 1.50)。
Cold & Wetの所見がある人は予後不良であることを示しています。
また、Rosselloらは、急性心不全患者を対象とした大規模研究にて、
低心拍出所見(cold)と収縮期血圧が予後と関係するか調査しています。14)
その結果、
- 低心拍出所見があり収縮期血圧が低い人は、死亡リスクが高い
- 正常血圧でも低心拍出所見がある人は、死亡リスクが高い
収縮期血圧を含めて、低心拍出所見を評価することは予後予測に重要です。
身体所見を評価する際には、
その所見が「うっ血なのか」「低心拍出なのか」、
「Wet or Dry」、「Cold or Warm」を判断することが重要です。
心不全の有無だけでなく、うっ血と低心拍出の血行動態も評価しましょう。
うっ血と低心拍出所見の精度
うっ血や低心拍出の所見を確認する重要性を紹介しました。
こちらでは、うっ血と低心拍出所見の感度と特異度、陽性尤度比についてまとめます。
以下、結論です。
うっ血を判定する身体所見
- ラ音:感度0.15/特異度0.89/陽性尤度比1.36
- 頸静脈怒張(JVD):感度0.57/特異度0.93/陽性尤度比0.81
- 起坐呼吸:感度0.86/特異度0.25/陽性尤度比1.15
低心拍出の身体所見
- PPP < 25%:感度0.10/特異度0.96/陽性尤度比2.50 [PPP(proportional pulse pressure):(収縮期血圧―拡張期血圧)/収縮期血圧]
- SBP < 90mmHg:感度0.12/特異度0.84/陽性尤度比0.75 [SBP:収縮期血圧]
- 四肢の冷感:感度0.20/特異度0.88/陽性尤度比1.67
- 倦怠感:感度0.94/特異度0.08/陽性尤度比1.02
木村雅彦先生は、循環器に対するアウトカムをまとめてくれています。15)
また、陽性尤度比についてDranzerは報告しています。16)
- うっ血の判定:腹水、JVP
- 低心拍出の判定:PPP<25%、四肢の冷感、cold profile
*JVP(jugular venous pressure):頸静脈圧、頸静脈怒張(JVD)から予測
* PPP(proportional pulse pressure):(収縮期血圧―拡張期血圧)/収縮期血圧
* cold profile:医師により”cold”の判定
上記の所見は、他の検査よりも判定精度が高いことを示唆しています。
ただし、どの所見の陽性尤度比も10に満たないため、1つの所見で判断するには精度が低いと考えられます。
うっ血と低心拍出所見の感度と特異度に関する研究をまとめます。16~18)
- うっ血では、起坐呼吸では感度が高く、ラ音と頸静脈怒張では特異度が高い。
- 低心拍出では、倦怠感では感度が高く、PPP<25%とSBP<90mmHg、四肢冷感では特異度が高い。
心不全の身体所見でも述べましたが、一つの所見から判断することは難しく、解釈を誤る危険があります。
感度や特異度を含めて、必ず複数の所見から判断することが重要です。
評価できる所見が多いことで、心不全のサインを見落とすリスクも低くなり、リスク管理にも役立ちます。
心不全増悪の目安
ここでは心不全の増悪目安を簡単に紹介します。
紹介した身体所見と重なり部分もありますが、臨床での”気づき”のきっかけになるため大切です。
以下の項目をチェックもしくは問診しましょう。19)
- 安静時の心拍数増加(前日より安静時+10bpm)
- 体重の急激な増加(3日間で+3kg>)
- 労作時の息切れ増強
- 夜間頻尿
- 四肢末梢の浮腫
- 四肢末梢の冷感(いつもより冷たい)
- 消化器症状(お腹が張る,消化不良,etc)
身体所見と重複していない項目として、
- 安静時の心拍数増加(前回より+10bpm)
- 短期間での体重増加(3日間で+3kg以上)
- 夜間頻尿
- 消化器症状(お腹が張る、消化不良など)
があります。
体重測定以外は、バイタルチェックや問診で確認できる比較的簡単です。
身体所見と合わせて、増悪の所見も知っておきましょう。
心臓リハビリの運動処方
簡単に、心臓リハビリにおける運動負荷の設定についてまとめます。
ガイドラインにおける、運動負荷の設定方法は、以下の通りです。20)
CPXなどの専門機器がない場合に、
細かく負荷を設定したい場合はKarvonen式がおススメです。
問題がなければk値を0.6、心不全患者では0.3~0.5と設定して算出します。
もっと簡単に運動強度の設定をしたい場合は、
- 自覚的運動強度Borg Scale
- 安静時の心拍数に+30bpm/分
が活用しやすいです。
また、有酸素運動の負荷設定では、
- 1週間の頻度
- 1回の実施時間
もチェックするようにしましょう。
入院時のリハビリはともかく、
外来や訪問リハビリの場面で毎日セラピストが関わることは難しいです。
そのため自主練習の指導が重要となります。
その際に、強度だけでなく、頻度や1回の実施時間についても知ってもらいましょう。
例えば、中等度の運動強度を設定する場合
- 1週間の実施頻度は週5日以上
- 自覚的運動強度は「ややきつい」Borg Scale12~13
- 1回の実施時間は30~60分
循環器疾患の運動負荷設定については、別の記事でも紹介しています。
ご興味があればこちらから。
運動負荷の設定は、リハビリの重要な役割です。
心不全患者では特に注意して行いましょう。
まとめ
心不全やうっ血、低心拍出の身体所見についてまとめました。
身体所見は特別な機器を用いなくても、簡易的ですが心不全の状態把握に役立ちます。
早期発見や重症化の予防にもつながるため、心不全リスク管理として重要です。
特に、医師や看護師がおらず、各種モニターや検査もすぐに実施することが難しい、外来や訪問リハビリでは活用の範囲は広いと考えられます。
心不全の症状と身体所見として、
発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、労作時の息切れ、Ⅲ音、頸静脈怒張、ラ音、下腿浮腫
があります。
また、心不全ではうっ血や低心拍出の血行動態についても判別できると、予後側にも役立ちます。
うっ血や低心拍出の所見による”wet & dry”、”cold & warm”の分類も知っていると便利です。
- うっ血の所見:ラ音、頸静脈怒張、起坐呼吸
- 低心拍出の所見:PPP<25%、SBP<90mmHg、四肢冷感、倦怠感
心不全では多くの身体所見や症状があります。
単発の陽性尤度比は高くないため、1つの所見から判断するのは難しいです。
必ず複数の所見をチェックして病態を検討するようにしましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
参考資料
- 日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療
- P A McKee, et al. The natural history of congestive heart failure: the Framingham study. N Engl J Med. 1971.
- Jennifer T Thibodeau, et al. The Role of the Clinical Examination in Patients With Heart Failure. JACC Heart Fail. 2018.
- 香坂俊.心不全の診断.日内会誌.2020.
- 稲葉佳江 編:看護ヘルスアセスメント.メヂカルフレンド社.2011.
- Jennifer T Thibodeau, et al. Characterization of a novel symptom of advanced heart failure: bendopnea. JACC Heart Fail. 2014.
- Raymond Pranata, et al. Clinical significance of bendopnea in heart failure-Systematic review and meta-analysis. Indian Heart J. 2019.
- Maylene Wong, et al. Signs and symptoms in chronic heart failure: relevance of clinical trial results to point of care-data from Val-HeFT. Eur J Heart Fail. 2006.
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- Anju Nohria, et al. Clinical assessment identifies hemodynamic profiles that predict outcomes in patients admitted with heart failure. J Am Coll Cardiol. 2003.
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- 木村雅彦.内部障害(循環器)に対する理学療法評価・効果判定のためのアウトカム指標.理学療法学.2020.
- Mark H Drazner, et al. Value of cliniciann assessment of hemodynamics in advanced heart failure: the ESCAPE trial. Circ Heart Fail. 2008.
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- 岩津弘太朗.心血管理学療法に必要な臨床指標とその意義ー病態の重症度の指標とその解釈についてー.理学療法学.2017.
- 理学療法リスク管理マニュアル【第2版】.聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部理学療法科.三輪書店.2009.
- 2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン.日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン.
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