【遅発性筋肉痛DOMS】マッサージは効果的なアプローチ

運動療法
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みなさんは、運動した後に筋肉痛になったことはありますか?

筋肉痛の正式名称は、“遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness; DOMS)”といいます。

DOMSは、疼痛だけでなく、筋パフォーマンスの低下やトレーニングを妨げます。

そのため、DOMSに対して、マッサージや電気、アイシング、ストレッチなど色んなアプローチが検討されてきました。

この記事では、DOMSへのアプローチとその効果をまとめています。

結論として、

  • DOMSに最も効果があるアプローチは、マッサージ
  • DOMSへのマッサージ効果は、運動直後や24時間後よりも48~72時間で効果的
この記事を読むメリット
  • DOMSへの有効なアプローチがわかる
  • マッサージの効果がわかる

遅発性筋肉痛(DOMS)はパフォーマンスに悪影響

DOMSの概要についてまとめていきます。

DOMSの原因
  • 高齢
  • 不慣れな運動や高強度の運動
  • 遠心性収縮運動の繰り返し
DOMSの症状
  • 運動後12~24時間で発現し、24~78時間後にピーク、5日~1週間程度で自然に消失する疼痛
  • DOMSが生じた筋は、硬く、感じやすく(痛覚閾値の低下)、柔軟性低下や筋力低下が多くの場合生じる
  • 運動時痛と圧痛が主な症状で安静時痛はない

運動、特に遠心性収縮を繰り返す運動では、

筋が損傷しやすくDOMSの主な要因です。

「早ければ運動終了8時間後から損傷による炎症と修復の過程で、

痛覚関連受容器の感度が上昇するため疼痛が生じる。」

というのが考えられるているメカニズムの一つです。

DOMSは、治療なく疼痛が消失する点から軽視されがちですが、

スポーツやトレーニングを行う人には心理的ストレスの原因にもなります。

また、

DOMSは、自発的な収縮力の減少と筋本来の能力低下の両方により、筋パフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。

R B Armstrong, et al. Mechanisms of exercise-induced delayed onset muscular soreness: a brief review. Med Sci Sports Exerc. 1984.

という報告や、DOMS発現時は発現前の60%程度も仕事量が低下したともいわれ、

DOMSはトレーニング効率を悪くする可能性が懸念されています。

場面によって異なりますが、

特にスポーツ分野ではDOMSに対して対処することが重要になることもありますね。

DOMSに有効なアプローチの1位はマッサージ

DOMSに有効なアプローチについてまとめた論文を紹介します。

結論として、

DOMSの疼痛緩和に有効な方法は、

1位:マッサージ

2位:アクティブリカバリー

3位:コンプレッションウエア

です。

Dupuyらは運動後の回復技術のエビデンス構築のため、DOMSに対する回復方法をメタ解析で調査しました。

対象は99研究が含まれ、1188名です。

結果は、

  • マッサージ (SMD-2.26)
  • アクティブリカバリー(SMD-0.94)
  • コンプレッションウエア(SMD-0.92)
  • 水中浸漬(しんせき) (SMD-0.47)
  • 温冷交代浴(SMD-0.40)
  • 寒冷療法(SMD-0.53)

がDOMSの改善に有効であると報告しました。

  • SMD:標準偏差として介入効果を表す。高値ほど効果ある介入であると示す。
  • アクティブリカバリー:軽負荷の有酸素運動にて血行を促進し、疲労回復を図る積極的なリカバリー方法。
  • コンプレッションウエア:着圧によって血流量の増加によって身体負担軽減、疲労改善させる着圧ウエア。
  • 浸漬:プールやお風呂などを含めて、水圧による体循環を促通する方法。

ストレッチや電気治療では、DOMSに対して有意な改善は認めませんでした。

DOMSに有効な手法はいくつもありますが、

特にマッサージやアクティブリカバリー、コンプレッションウエアは有効性が高いと示されます。

スポーツや高負荷活動後のアフターケアとして、知っておくと活用する場面が多いかもしれません。

マッサージは疲労感にも有効

この研究では疲労感についても調査しています。

疲労に対する効果的なアプローチは、

  • マッサージ(SMD-2.55)
  • マッサージ+ストレッチ(SMD-4.34,)
  • コンプレッションウエア(SMD-0.88)
  • 水中浸漬(しんせき) (SMD-1.16)

が有効であったと報告しています。

しかし、

アクティブリカバリー、ストレッチ、電気療法、交代浴は疲労感の改善に関連は認めませんでした。

疲労感に関しても、マッサージは高い有効性が報告されていますね。

マッサージの実践概要

Dupuyらの調査した報告にて、実施されたマッサージの概要をまとめます。

マッサージ内容

対象:アスリートや普段運動をしない人でも、DOMSや疲労感の軽減には有効であった

タイミング:マッサージは運動直後または2時間以内

実施時間:20~30分間のマッサージを実施

機序:マッサージによる血流増加が筋肉の浮腫を軽減させる可能性があると報告

DOMSへのマッサージ効果は48~72時間後に顕著

DOMSに対してマッサージが「どれくらいの時間で効果が発揮するのか」をまとめます。

結果として、

運動直後や24時間後よりも、48~72時間後のDOMSに高い効果を示す。

です。

Guoらは2017年の系統的レビューとメタ解析にて、

11論文504名を対象に、DOMSに対するマッサージ効果を検証しています。

その結果、

  • 運動直後は効果なし(SMD-0.03,p=0.90)
  • 運動後24時間(SMD-0.61,p=0.03)は効果あり
  • 運動後48時間(SMD-1.51,p<0.001)と効果あり
  • 運動後72時間(SMD-1.46,p=0.01)と効果あり

運動後のDOMSに対してのマッサージ効果は、運動後24時間から有意な効果はありました。

ただし、24時間後では効果が小さい可能性があり、

特に48時間後および72時間後で高い効果でした。

DOMSのピークが24~48時間であることも関係している可能性がありますが、

マッサージ直後よりも翌々日から高い効果があるようですね。

マッサージで筋パフォーマンスは改善するか

マッサージと発揮筋力の関係についても調査されています。

対照群と比べ、マッサージ介入群の最大等尺性筋力は、

  • 運動直後(SMD 0.13、p=0.60)有意差なし
  • 運動後24時間後(SMD 0.34、p=0.12)有意差なし
  • 運動後48時間後(SMD 0.31、p=0.16)有意差なし
  • 運動後72時間後(SMD 1.11、p=0.03)効果あり

運動後72時間でマッサージ介入群が、わずかに高かいという結果でした。

この解釈の注意点として、

マッサージによって筋力が向上したのではなく、マッサージによって疲労が改善したことで、

マッサージ介入群の方が有意に高かったということです。

マッサージはDOMSなだけでなく、筋力パフォーマンスにも効果的であることが示されています。

まとめ

  • 運動後の遅発性筋肉痛(Alleviates Delayed Onset Muscle Soreness; DOMS)はトレーニングや運動のパフォーマンスを下げるため早期の緩和が大切。(運動後24時間以内に発生し、24~72時間でピーク)
  • DOMSの緩和に有効な方法は、マッサージ、アクティブリカバリー、コンプレッションウエア
  • 運動後の疲労感に有効な方法は、マッサージ+ストレッチ、マッサージ、水中浸漬
  • DOMSに対するマッサージは、運動直後や運動後24時間よりも運動後48~72時間で効果顕著
  • マッサージは運動後72時間の筋力パフォーマンスにも効果がある

参考資料

  • R B Armstrong, et al. Mechanisms of exercise-induced delayed onset muscular soreness: a brief review. Med Sci Sports Exerc. 1984.
  • Olivier Dupuy, et al. An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Front Physiol. 2018.
  • Jianmin Guo, et al. Massage Alleviates Delayed Onset Muscle Soreness after Strenuous Exercise: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Physiol. 2017.

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