
赤ちゃんは、どんな関わり方が成長にいいんだろう?
生まれてすぐは、どんな遊びをしたらよいかな?
赤ちゃんとの生活で、そんな疑問や不安を感じることはありませんか?
この記事では、
赤ちゃんの脳や神経、将来の人間関係にも影響する「アタッチメント(愛着)」について解説します。
結論として、日々の関わりで「赤ちゃんのサインに意識を向けること」、「気分によって関わり方を変えず、いつもやさしく接すること」、そして「触れあう時間を作ること」が大切です。
育児を完璧にする必要は全くありません。赤ちゃんと関わる際に少しだけ意識してみましょう。
また、道具を必要とせずに、生後すぐにできる「アイコンタクト」、「くっつき遊び」、「簡易ベビーマッサージ」を紹介します。
ぜひ、赤ちゃんと過ごす時間を楽しむヒントにしてみてください。
この記事は、理学療法士の筆者が、地域の赤ちゃんとお母さんに向けた講話をもとに作成しています。
アタッチメント(愛着)ってなに?どうして大事なの?
アタッチメント(愛着)とは、赤ちゃんとの関係を築くために重要な要素です。
ここでは、アタッチメント(愛着)について、分かりやすく解説します。
アタッチメント(愛着)とは、「赤ちゃんが養育者と近づくことで、安心感を得ようとする行動システム」のことです。
ここでの「養育者」とは、お母さんだけではなく、赤ちゃんの育児に関わる全ての人を指します。
赤ちゃんと養育者が良好な関係を築くことで、安心感が得られ、脳や身体の発達だけでなく、人間関係の形成にも大きく影響します。
アタッチメントが赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない理由
赤ちゃんの心や体が健やかに育つためには、まわりの物やおもちゃなど、新しい刺激に自分で向かっていく”探索行動”が欠かせません。
そして、赤ちゃんが挑戦するには、
「いつでも、お母さんお父さん(養育者)が守ってくれる。離れても戻れば大丈夫。」という安心感が重要です。
養育者が、赤ちゃんにとって「安全基地」となることで、安心して探索行動ができるようになり、成長を促進することができます。
探索行動:興味を持ったことに自分から遊びに行く
→不安・恐れ:驚いたり、怖い経験をする
→赤ちゃんが養育者を頼る:養育者のところに戻って甘える、抱っこなどを要求する
→養育者による保護:抱きしめたり、あやすことで安心感を与える
→安心の回復:赤ちゃんの不安や恐れが解消され、安心感が復活する
→探索行動を再開:再び自分から遊びに行く

探索行動と安心感のサイクルによって、赤ちゃんの成長は成長していきます。
逆に、アタッチメントが十分に形成されていないと、
赤ちゃんは不安や恐怖に直面した時、心を回復できる場所がなく、探索行動が減り、発達の機会を逃してしまいます。
また、アタッチメントは赤ちゃんの「自立心」や「人との関わり方」にも大きく影響します。
- 「自分でやってみよう」という自立を促す:養育者と安心感や信頼関係ができると、赤ちゃんは自信をもち、自主性が育まれます。
- 周囲と良い人間関係が築ける:赤ちゃんは3~6歳頃になると自分と養育者との関わりをマネして、他の人とも関わります。そのため、養育者と温かく肯定的な関係が築けていると、他の人との関わりも肯定的なイメージを持つようになり、良好な関係を築く土台ができます。
赤ちゃんの脳や体の発達だけでなく、心の健やかな成長に良好なアタッチメントは大切なものです。
アタッチメントは誰とでも築くことできる
アタッチメントは、お母さんと赤ちゃんとの関係をイメージすることが多いかもしれませんが、
実はお母さんだけでなく、誰とでも築くことができます。
おおむね、生後12ヶ月までに、次の条件を満たすことで、
赤ちゃんとアタッチメントを築くことができます。
- 身体的・情緒的なケアをしている(ミルクを与える、不機嫌な時にあやすなど)
- 赤ちゃんの生活に継続的に関わる
- 赤ちゃんに感情豊かに関わる

お母さんだけでなく、お父さんや他の家族など、赤ちゃんとアタッチメントができている養育者が複数人いるとたくさんのメリットがあります。
- 赤ちゃんの安心感につながる:一人の養育者が離れる場合でも、他に安心感を求めることができるため、赤ちゃんの発達へのマイナスな影響が少なくなります。
- 養育者の育児負担が軽くなる:安全基地としても役割や責任を一人で抱え込まずに分担できるため、養育者の負担も軽くなります。
2021年に発表された研究データによると、
「母親と赤ちゃん」「父親と赤ちゃん」のアタッチメントが、赤ちゃんの発達に果たす役割に大きな違いはない可能性が示されています。
お母さんとお父さんで、赤ちゃんに対する役割に大きな優劣はありません。
できるなら、お母さんやお父さんだけでなく、赤ちゃんに関わる多くの人とアタッチメントを育めるとよいですね。
赤ちゃんと良好なアタッチメントを築く方法
アタッチメントを育む2つのポイント「敏感性」と「一貫性」
赤ちゃんとのアタッチメントを築くためには、毎日の関わり方が大切です。
ここでは、育児で意識したい2つのポイントを紹介します。
専門用語では、「敏感性」と「一貫性」とよびます。
敏感性:赤ちゃんのサインに気づくこと。赤ちゃんの変化や、なにをして欲しいか(お腹がすいた、眠たいなど)を察知し、その気持ちに応えてあげることです。
一貫性:同じように優しく関わり続けること。養育者の気分によって態度を変えるのではなく、いつでも同じように接することです。

「敏感性」と「一貫性」の両方がそろうことで、養育者は安全基地として機能することができます。
もし、どちらかが欠けてしまうと、赤ちゃんは精神や発達的に不安定になりやすく、将来の問題行動や精神不調を引き起こすリスクになります。
ですが、育児を完ぺきにする必要はまったくありません。
これまでの関わりに、ほんの少しだけ「赤ちゃんのサインに気を向ける」「いつも通り優しく接する」ことを意識してみましょう。
今からできる!赤ちゃんとのコミュニケーションを5つのポイント
赤ちゃんとのコミュニケーションの取り方も深い関係を築くために重要です。
自身の全身を使った赤ちゃんとのコミュニケーションのポイントも紹介します。
赤ちゃんへの関わり方を少し意識するだけで、大きな効果が得られる可能性があります。
- 視線:目を合わせる時間を長くしたり、見つめる回数を増やす
- 距離:お互いの体温やにおいを感じるほど近い距離で触れ合う
- しぐさ:優しくうなずく、体を正面から向ける、赤ちゃんお同じ姿勢をとる
- 表情:目や口元が動くように大きく笑顔
- 接触:ギュッと抱きしめたり、手を握ったり、軽くタッチする

また、たくさん褒めることも亜太ちゃんとアタッチメントを築くために重要ですが、
1つ注意点があります。
それは、むやみに褒めず、赤ちゃんが「できた」「やった」と感じた瞬間に、共感して一緒に喜ぶことです。
赤ちゃんの体験や喜びを共有し、積み重ねることで赤ちゃんとの繋がりが強くなります。
生後すぐからできる!心と体とアタッチメントを築く【触れあい遊び】
身体や脳神経、アタッチメントを築く方法として、「触れあい遊び」がおススメです。
日本小児科学会でも、ふれあい遊びを行うことそのものが、
赤ちゃんとのアタッチメント築くために重要であると提言されています。
触れあい遊びには、アタッチメントだけでなく、次のような効果が期待できます。
- 脳や神経の健やかな発達:直接触れあう触覚の刺激は、脳や神経系の発達に重要です。
- 言葉やコミュニケーションの成長:触れあいがコミュニケーションとなり、言葉の発達を促します。

研究データによると、触れあいが少ないことで、
将来的に人との関係作りやコミュニケーションが難しくなったり、自己肯定感が低くなるリスクがあると報告されています。
このように、触れあいは、脳神経の発達や言語、コミュニケーション能力など、たくさんの効果が期待できます。
そして、赤ちゃんは、生まれた時から、周囲の表情や声、においなどを認識しています。
生後10週前後では十分に触覚もわかるようになり、5ヶ月頃を過ぎると、目で見たり耳で聞くこともしっかりわかるようになります。

つまり、誕生した時から感覚の発達は始まっており、0歳からでも触れあることで大きな効果が得られます。
触れあい遊びを紹介
赤ちゃんと目を合わせる【アイコンタクト】
生活の中で、簡単に取り入れられる方法として「アイコンタクト」があります。
- 顔を近づけて、5~10秒ほど目線を合わせる(抱っこや寝ながらでも大丈夫です!)
- 赤ちゃんと目線が合ったら、パッと大きく笑顔になる
- 生後1~2ヶ月の赤ちゃんは視力が弱いため、30cmほどの近い距離で行う

目線があった時に、わざと大きくにっこり笑てみたり、
「かわいいね~」などの声もかけながら行う、より効果的です。
アイコンタクトは、アタッチメントを育みだけでなく、
赤ちゃんの脳の発達にも効果が高いことが研究で証明されています。
- 養育者の感受性が高まり、アタッチメントの質がさらに向上する
- 赤ちゃんの脳の活動が活発になる
- 赤ちゃんが自分の注意や集中力を適切にコントロールできるようになる
お互いの顔を見つめ合う時間は、赤ちゃんの心や脳を元気にする効果があります。
今すぐにできるため、気軽に取り入れてみましょう。
お家で簡単!触れあいが増える【くっつき遊び】
特別なおもちゃが無くても、今すぐスキンシップを楽しめる「くっつき遊び」の例を紹介します。
赤ちゃんの様子を見ながら、優しく声をかけながらやりましょう。
タッチ遊び
- やり方:赤ちゃんを仰向けに寝かせて、お腹や手足、ほっぺをやさしくタッチする
- ポイント:赤ちゃんとしっかり目を合わせて、にっこり笑顔で行う。「ペタッ」など声をかけながら行う。
ギュ―遊び
- やり方:赤ちゃんを仰向けに寝かせて、手足やお腹、顔などを両手でやさしく包むように握る
- ポイント:目を合わせ、笑顔で、「ギュ―」などの声をかけながら行う。
優しく包みこむように触ることが大切です。
もし、赤ちゃんが嫌がったり,泣いてしまうときは、無理せずに、おしまいにしましょう。
赤ちゃんの表情をみながら、やってみてください。
手軽にできる!心と体をほぐす【簡易ベビーマッサージ】
本格的なベビーマッサージはしっかりとした準備や知識が必要ですが、
特別な準備や技術がいらない「簡易ベビーマッサージ」を紹介します。
マッサージ部位と順番:顔→お腹→二の腕→前腕→下半身(太ももやふくらはぎ)→背中→顔

- マッサージの前に手をしっかり温めておく
- 赤ちゃんの肌に優しく円を描くように滑らせたり、軽くひねったりする動きを5~10回ほど繰り返す
- 最初から顔を触ると驚いてしまうこともあるため、顔のマッサージは赤ちゃんが慣れてから行う
- マッサージ中は目線を合わせたり、声をかけたり、童謡を歌うとさらに効果的
マッサージというより、撫でるイメージで行いましょう。
ベビーマッサージの確立した方法は科学的根拠がまだ少ない部分があります。
また、専用のオイルを使う方法もありますが、終わった後に入浴する必要があるため
、オイルなしで行う方が日常に取り入れやすく、簡単に始められます。
ベビーマッサージはアタッチメントを築くだけでなく、赤ちゃん心身に次のような効果が科学的に報告されています。
- 愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が分泌され、深い信頼関係が作られる
- 身長や体重などの身体的発達が促進する
- ぐずり時間が減る
- 筋肉が刺激され運動能力が発達する
- 精神が発達しやすい
- 赤ちゃんの睡眠時間が長くなり、生活リズムが整いやすくなる
マッサージのやり方にこだわらず、
赤ちゃんとのスキンシップのつもりで試してみましょう。
【まとめ】日々の育児や遊びを通じて良好なアタッチメントを築こう
ここまで、「アタッチメント(愛着)」の大切さや、日々の生活の中で育んでいく方法をご紹介してきました。
最後にポイントだけまとめます。
- アタッチメントとは「心の安全基地」:養育者は赤ちゃんが困難に直面した際に、安心できる「安全基地」です。安全基地があることで、赤ちゃんは自分で新しい刺激に向かっていくことができます。そして、アタッチメントは誰とでも築くことができます。
- 日々の関わりで大切な「敏感性」と「一貫性」:赤ちゃんのサインに気づいて優しく応える「敏感性」と、気分で接し方を変えない「一貫性」が良好なアタッチメントを築くために重要です。完璧な育児が必要ではありません。少しだけ日々の関わり方を意識してみましょう。
- 今日からできる3つの「触れあい遊び」:アイコンタクト、くっつき遊び、簡易ベビーマッサージ
しっかりと目を見て、肌で触れあうことが、良好なアタッチメントを築くために大切です。
赤ちゃんと関わる参考にしてください。


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