【理学療法士が解説】健康によい1日の歩数とは?1万歩は必要?+1000歩の効果と「座りすぎ」の悪影響を相殺する歩数のエビデンス

評価

健康のために歩きたいけど、1日1万歩って本当に必要なの?

どれくらい歩くと、どんな効果がある?

臨床の現場でも、患者さんから「歩く」ことについて聞かれることが良くあります。

この記事では、世界的な論文(科学的なエビデンス)をもとに、

健康と1日の歩数について、理学療法士の視点で解説します。

  • 1日の目標は7000歩でOK
  • 普段よりも+1000歩で大きな健康効果がある
  • 座りすぎによる悪影響は歩数を増やすことで相殺できる

「どれくらい歩けばよいかわからない」など、歩くことへの疑問を解決できる内容です。

ぜひ、健康づくりに活用してみてください。

1日の歩数は何歩を目指せばいい?

「1日に何歩で健康にいいんだろう?」という疑問を解説します。

1日の歩数と健康の効果について、数多くの研究がされており、指標になる歩数が明らかになっています。

目指すは1日7000歩!

7000歩で死亡や病気のリスクが効率よく低下する

1日3000歩で認知症や膝の機能低下を予防が期待でき、

5000歩以上で糖尿病や転倒の予防にも効果があります。

歩数が多いほど、得られる健康効果が多いです。

なぜ1日7000歩がおススメか?

2025年に世界的に権威のある医学誌Lancet Public Healthに掲載された調査によると、

1日2000歩の人に比べて、7000歩の人は病気や死亡、転倒リスクが

6~47%も低下することが報告されています。

さらに興味深いのは、がん・2型糖尿病・転倒などの予防効果は、

1日7000歩を超えると、あまり変わらなかったことです。

昔から言われている「1日1万歩」まで頑張らなくても、

1日7000歩を目指すだけで、十分な予防効果が得られます。

「歩くと膝が悪くなる」は本当か?

リハビリの現場では、変形性膝関節症の患者さんから、

「歩くと軟骨がすり減って膝が悪くなりませんか?」と聞かれることがあります。

結論として、歩いた方が膝の機能を維持することができ、

膝の構造が悪化するという明らかな根拠はありません。

変形性膝関節症の1788名を対象とした研究では、

1日3000歩以上歩く人は2年以内に機能低下する割合が大幅に少なく、

1日6000歩が膝の機能を維持する目標値とされています。

また、進行した変形性膝関節症の516名を対象とした研究では、

1日4000~10000歩いても、5年以内に膝関節の手術をするリスクは変わりませんでした。

つまり、「歩き過ぎで膝が悪くなる」という科学的な根拠は現段階ではありません。

もちろん、歩けないほど強い痛みがあるときは無理をする必要はないですが、

「可能な範囲で歩くこと」は膝の調子を維持するためも重要になります。

目指せ「+1000歩」無理をせずに健康効果を高めるポイント

「7000歩も歩くのは厳しい!」と感じる人は、多いかもしれません。

いきなり、たくさん歩く必要はなく、

今の生活より1000歩多く歩くことが健康に効果があります。

1日+1000歩が引き起こす健康効果は、以下のことが科学的に明らかになっています。

  • 体重減少(約1.3%の体重減少効果)とリバウンドの防止
  • 変形性膝関節症による歩行速度や身体機能の低下予防
  • 死亡率、心血管疾患、がん、糖尿病、認知症などのリスク減少

2025年にLancet Public Healthに掲載された研究では、

1日の歩数が少ない人(1日2000歩)でも、

+1000歩増えると死亡や病気のリスクが減少することがわかりました。

1日の比較的少ない歩数であっても、+1000歩することで健康に有益です。

まずは今の生活に「+1000歩」を意識してみましょう。

今日から+1000歩増やすアイデア

1000歩を増やす具体的な工夫やポイントを紹介します。

今日からできる+1000歩へのアイデアまとめ
  • 水分をこまめにたくさん摂る(水の補充やトイレに行くために、歩く機会が増える)
  • 昼休みに外を散歩する
  • 電話は歩きながら話す
  • できるだけ階段を使う
  • 駐車場は意図的に少し遠い場所に停める
  • 歩く楽しみを作る(位置情報ゲーム・ラジオ・カフェ巡り・ポイ活など)

特別な時間を作らなくても、習慣を少し変えるだけで、+1000歩は達成できます。

歩数計をつけるだけで歩数が増える

57研究、16,355人を対象とした研究によると、

歩数計を使って自分の歩数を測るだけで1日の歩数が増えました。

4ヶ月以内:1126歩/日増加

6ヶ月:1050歩/日増加

ちなみに、スマートウォッチやスマホアプリよりもシンプルな万歩計の方が効果は高かったようです。

高価な機器を買う必要はないです。

まずは、家にある万歩計やスマホを使って歩数をチェックしてみましょう。

自分の歩数をチェックすることが、+1000歩に効果があります。

座りすぎの悪影響を歩くことで相殺できる

デスクワークやテレビなどで座り時間が長い人ほど、

歩くことが重要になります。

長時間の座りすぎは病気のリスク高めるが、歩くことで悪影響を相殺できる

長時間の座りすぎによる病気のリスク

まず、座りすぎがどれだけ体に悪いか解説します。

65歳以上の日本人約9万人を対象とした質の高い研究では、

1日8時間以上座っている人は、死亡、要介護、認知症のリスクが31~36%も増加しました。

さらに、アメリカの大規模調査によると、

座り時間が長いと調査された12の病気のうち、

糖尿病や脂肪肝、心疾患、うつ病など11の病気でリスクが上がることが明らかとなりました。

座っている時間が長いことは、それだけで健康を害する要因です。

座りすぎによる病気や認知症などの悪影響については、別の記事にて詳細に解説しています。

【座位行動・座位時間】長く座っていると健康に悪い?座位時間による死亡・要介護・心血管疾患・がん・認知症のリスク 研究論文から解説!【身体活動】
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歩くことで座りすぎのリスクを相殺できる

「仕事だから、座る時間を減らすのは難しい…」という人も多いかもしれません。

ここでは、座りすぎの悪影響に対する、歩く効果を解説します。

2026年の最新の研究によると(アメリカ人15327人を対象とした調査による)と、

長時間座ることによる病気のリスクは1日1700~5500歩増やすことで、

リスクを相殺できることが明らかになりました。

ただし、冠動脈疾患や心不全は歩数が増えても

リスクを完全には相殺できなかったので注意です。

1日の座り時間を歩き時間に変える

さらに、イギリスとアメリカの住民を対象とした大規模な国民調査データを用いた研究では、

座る時間を歩く時間に置き換える効果が調査されました。

座っている時間のうち30~60分を歩く時間に置き換えるだけで、

死亡リスクが3~13%も減少しました。

座り時間を歩く時間に置き換える効果は、要介護や認知症、心疾患リスクの減少効果もあります。

【座位行動・座位時間の置き換え】座位行動の置き換えで死亡・要介護・心血管疾患・認知症のリスクは減少する【身体活動】
座っている時間が長いけど、何をしたらよいの?座っている時間を、どれくらい活動に置き換えると効果的?座位行動・座位時間座位行動(sedentary behaviour)とは、座っている、もたれている、横になっている状態で、1.5METs以下の…

長く座ったら、意識的に歩く機会を作りましょう。

テレビなどは座らずば、足踏みや立って見るのもおススメです。

まとめ:歩くことから始める健康作り

ここまで、1日の歩数と健康について解説してきました。

  • 目指す目標値は1日7000歩:7000歩で病気や死亡、転倒などのリスクが十分に減少します。また、膝に不安のある方も痛みがない範囲で歩くことで、身体機能の維持にも繋がります。
  • 今の生活に+1000歩:1日に+1000歩することで、体重減少やリバウンドの防止、膝の機能維持や病気の予防に効果があります。1日の歩数をチェックだけでも、歩数を増やすことにつながります。
  • 座りすぎの悪影響は歩くことで相殺できる:座りすぎによって病気のリスクは増加しますが、1日+1700~5000歩増やすことで、増えたリスクを相殺できます。また、座っている時間を歩く時間に置き換えることも有効です。

歩くことが増えるだけで、健康への効果があるとエビデンスが示しています。

できることから始めて、自分のペースで歩く習慣を続けていきましょう。

参考文献

  • Ding Ding, et al. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. Lancet Public Health. 2025.
  • Daniel K White, et al. Daily walking and the risk of incident functional limitation in knee osteoarthritis: an observational study. Arthritis Care Res (Hoboken). 2014.
  • Dana Saadeddine, et al. Daily Steps During Nutritional Lifestyle Modification Programs for Obesity Management: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2026.
  • Hiral Master, et al. Association of step counts over time with the risk of chronic disease in the All of Us Research Program. Nat Med. 2022.
  • Amanda E Paluch, et al. Prospective Association of Daily Steps With Cardiovascular Disease: A Harmonized Meta-Analysis. Circulation. 2023.
  • Katherine S Hall, et al. Systematic review of the prospective association of daily step counts with risk of mortality, cardiovascular disease, and dysglycemia. Int J Behav Nutr Phys Act. 2020.
  • Borja Del Pozo Cruz, et al. Prospective Associations of Daily Step Counts and Intensity With Cancer and Cardiovascular Disease Incidence and Mortality and All-Cause Mortality. JAMA Intern Med. 2022.
  • Marcel Ballin, et al. Daily step count and incident diabetes in community-dwelling 70-year-olds: a prospective cohort study. BMC Public Health. 2020.
  • Zhen Du, et al. Sedentary behavior and the combination of physical activity associated with dementia, functional disability, and mortality: A cohort study of 90,471 older adults in Japan. Prev Med. 2024.
  • Neil S Zheng, et al. Daily steps offset risks of sedentary behavior in the All of Us research program. Nat Commun. 2026.
  • Qinyu Chang, et al. Replacement of sedentary behavior with various physical activities and the risk of all-cause and cause-specific mortality. BMC Med. 2024.

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