【身体機能評価】パフォーマンス評価もできる5回立ち上がりテストの評価方法|メリット・デメリット・基準値

評価
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5回立ち上がりテストという評価を知っていますか?

SPPBでの評価項目の1つであり,臨床だけでなく,サルコペニア評価などの健康推進活動でも用いられており,活用の範囲が広い評価です.

あまり馴染みがない評価かもしれませんが,椅子と時計があれば簡単にできる評価.

場所も必要としないため,病室内や訪問リハビリ時にも有用です.

この機会に,5回立ち上がりテストを臨床で活用してみてください.

読むメリット
  • 5回立ち上がりテストの測定方法が理解できる
  • 5回立ち上がりテストから得られる情報が理解できる

5回立ち上がりテスト

立ち上がり動作は全身運動であり,下肢全体の筋力やバランス能力,パフォーマンス能力など様々な能力が必要です.

そのため立ち上がり動作を用いた立ち上がりテストは全身のパフォーマンス能力を見ることができ,臨床のみでなく,サルコペニア評価など広い分野で用いることができます.

立ち上がりテストの中には,30秒間に何回立ち上がることができるか評価する「30秒立ち上がりテスト」や10~40cmの高さの台から立ち上がることができるか評価するテストなどがあります.

その中でも,今回紹介する5回立ち上がりテストは測定手順も簡便で,時間も短時間で済む評価です.

つまり検査者も被検者も負担が少ない評価なので,臨床でも役立てられると思います.

測定方法

まず準備するものとして,40cm程度の椅子とストップウォッチだけです.

椅子は日本の製品はおよそ40cm程度に設定されているためパイプ椅子などでも大丈夫です.

測定手順
  1. 腕を組み椅子に座る(やや浅めに座ってもOK)
  2. 被験者に”できるだけ早く”立ち上がって座ることを5回繰り返すように指示する
  3. 5回目に座った時点での時間を記録する

メリットとデメリット

5回立ち上がりテストの利点として,準備する物が少なく,狭い場所でも実施可能.つまり,訪問リハビリなどの器具の準備が十分に行えない場所でも評価しやすい点です.

また先ほども述べましたが,速く立ち上がるだけの簡単な動きのため,実施の際に離開がしやすく,短時間で実施できます.

つまり,検査者と被験者の両方の負担が少ないこともメリットです.

デメリットとして,評価の性質上,上肢の支持がないと立ち上がれないような身体機能の低下している人では実施できない点が挙げられます.

脳卒中や心疾患など様々な疾患で5回立ち上がりテストを評価として使用した報告はありますが,重度の身体機能低下を認める患者では実施が難しい可能性があります.

5回立ち上がりテストの基準値

Richardらは5回立ち上がりテストは全身のパフォーマンスを示し,60歳代で11.4sec70歳代で12.6sec80歳代で14.8secよりも時間がかかる場合は,パフォーマンスの低下を示すと報告しています.

日本の報告では,東京大学のYoshimuraらは,地域住民の男性513名,女性1062名を対象としたコホート研究で各年代の平均値を調査しました.

地域住民の平均値なのでRichardらの報告したカットオフ値とは値が大きく異なっています.

Yoshimuraらの調査では男女差は比較的少なく,男女ともに70歳代から顕著に低下していました.

臨床では,年齢平均も参考としてパフォーマンス能力の判定に用いることができると思います.

ちなみにサルコペニアのスクリーニングでは,5回立ち上がりテスト12sec以上はサルコペニアの疑いありと判断されます.

他にも転倒やADL,QOLとの関連もまとめた記事はこちら.

COPDの予後予測との関連をまとめた記事はこちら.

5回立ち上がりテストとその他身体機能測定の関係

Yeeらは,独歩可能な高齢者887名を対象に,5回立ち上がりテストと握力,歩行速度,6分間歩行TUGは相関関係を認めると報告しています.

高齢者の5回立ち上がりテストは,筋力,動的バランス,心肺持久力と関係し,全体的な身体能力を示されています

また,Bohannonらは膝伸展筋力と有意な相関関係(r=-0.53)を認めると述べており、

重回帰分析の結果からも、5回立ち上がりテストは下肢筋力測定として有用であることを示しています。

専用機器がない施設や小規模病院での筋力測定の代用として便利ですね!

まとめ

今回は,簡便かつ短時間に実施できる5回立ち上がりテストを紹介しました.

全身の身体機能評価の1つとして5回立ち上がりテストを日々の臨床に取り入れるのも面白いかと思います.

  • 5回立ち上がりテストは測定手順も簡便で,時間も短時間で済む評価
  • 40cm程度の椅子とストップウォッチがあれば実施可能
  • 60歳代で11.4sec70歳代で12.6sec80歳代で14.8secよりも時間がかかる場合は,パフォーマンスの低下が示唆
  • 5回立ち上がりテストは筋力、バランス、ADL、QOLなどの指標にもなる

何かの参考になれば幸いです.ここまで読んできた抱きありがとうございました!

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