
筋力トレーニングは、どれくらいの頻度でやるもの?

1週間の筋力トレーニングって効果ある?
筋力トレーニングをどれくらいの頻度で実施するか、悩んだことは内でしょうか。
この記事では、主に一般成人を対象とした筋力トレーニング頻度の影響や
週1回の筋力トレーニング効果について、論文などのエビデンスをもとに解説します。
この記事の結論は以下の通りです。
- 筋力や筋肉量の向上には週2~3回の筋力トレーニングが推奨
- 運動していない人や運動初心者では、週1回の筋力トレーニングでも筋力や筋肉量の向上が図れる
- 筋力や筋肉量の大きな向上が目標なら、週1回よりも週に複数回の運動頻度を推奨
トレーニング頻度は、運動を継続するためにも重要な要素です。
- 筋力トレーニングにおける頻度の影響がわかる
- 週1回の筋力トレーニング効果やメリット・デメリットがわかる
筋力トレーニングの推奨頻度は週2~3回
ここでは、筋力トレーニングで推奨される1週間のトレーニング頻度について、協会の声明やエビデンスレベルの高い論文を紹介します。
以下、結論です。
- 筋力の向上を目的とする筋力トレーニングは1週間に2~3回が推奨
- 筋肉量の向上を目的とする筋力トレーニングは1週間に2~3回が推奨
- 筋力や筋肉量の向上には、トレーニング後は48~72時間の休息が必要な可能性
WHO(世界保健機関)は、2020年のガイドラインによって筋力トレーニングの頻度に関して、以下のように述べています1)。
18~64歳と65歳以上の健康増進のためには、少なくとも週2回の主要筋群を使った筋力を強化する活動を推奨(強い推奨、中等度レベル)

また、ACM(アメリカスポーツ医学会)のポジションスタンドでも、
健康成人における筋骨格系・神経運動機能の維持向上に関する量と質について以下のように述べています2)。
- 強度:筋力と筋肉量の向上効果を得るには60~80%1RMが推奨
- 回数:8~12回の反復運動
- セット数:2~4セットで筋力や筋肉量の向上が図れる
- 頻度:週2~3回

協会によるガイドラインや声明によると、 1週間の筋力トレーニング頻度は週2~3回が推奨されています。
さらに、筋力トレーニングの量や頻度に関して、系統的レビューとメタ解析で調査した研究がいくつかあります。
Bordeらは、健康な高齢者を対象に筋力トレーニングの量や頻度を報告しています3)。
筋力の向上を目的とした筋力トレーニング用量の結果は以下の通り。
- 期間:50~53週
- 頻度:週2回
- 反復回数:7~9回
- セット数:2~3セット
- 強度:70~79%1RM

筋肉量の向上を目的とした筋力トレーニング用量の結果は以下の通り。
- 期間:50~53週
- 頻度:週3回
- 反復回数:7~9回
- セット数:2~3セット
- 強度:51~69%1RM

地域の健康な高齢者では、筋力向上には週2回、筋肉量向上には週3回が適した頻度であると報告しています。
さらに、Currierらは、2023年に100研究以上を対象に、健常成人の筋力と筋肉量の向上を図る筋力トレーニングについてネットワークメタ解析を行いました4)。
その結果は、以下の通りです。
- 筋力の向上を最大化するメニュー:高負荷(1回の反復最大値≥80% or ≥8RM),複数セット,週3回以上 (SMD 1.60 95%CI 1.38~1.82)
- 筋肉量の向上を最大化するメニュー:高負荷(1回の反復最大値≥80% or ≥8RM ),複数セット,週2回 (SMD 0.66 95%CI 0.47~0.85)

筋力の向上では週3日以上、筋肉量の向上では週2日の筋力トレーニング頻度であると報告されています。
これらのポジションスタンドや研究結果から、最適な筋力トレーニング頻度を考えると、
筋力や筋肉量の向上を目標とする場合の最適な筋力トレーニング頻度は週2~3回です。
ちなみにACSMによると、トレーニングは連日で行わない方が良いとされています2)。
筋肥大とそれに伴う筋力増加を促す細胞/分子適応を最適に促進するには、セッション間に48~72時間の休息期間が必要。
同部位の筋力トレーニングは2~3日を空ける方がよさそうですね。
休息期間を考慮しても、1週間の筋力トレーニング頻度は2~3日が適しているかもしれません。
高齢者における最適な筋力トレーニングについては別記事にて解説しています。
推奨よりも少ない週1回の筋力トレーニング効果
ここでは、推奨されている頻度よりも少ない週1回の筋力トレーニングによる効果について解説します。
外来や訪問リハビリでは、週1回しか介入できないことも多く、運動に対して消極的な方もいます。
そんな介入頻度が少ない場合の運動処方の参考になると思います。
結論は以下の通りです。
- 運動していない人や運動初心者では、週1回の筋力トレーニングでも筋力や筋肉量の向上が図れる
- 運動初心者やトレーニングに消極的な人は、低用量の運動から開始することを推奨
- 筋力や筋肉量の大きな向上が目標なら、週1回よりも週に複数回の運動頻度が推奨
- 筋力トレーニングの強度や量(セット数)が同じなら、週2~3回の頻度を週1回にしても筋力の維持は可能
- 高齢者では筋肉量の維持は週1回の頻度では難しい場合がある
Behmらは、運動初心者やトレーニングに消極的な人に対する低用量の筋力トレーニングの効果をレビューにて報告しています5)。
推奨される低用量の筋力トレーニング処方は以下の通りでした。
- 頻度:週1回
- 回数:6~15回
- セット:1セット
- 強度:30~80%1RM(低強度でも効果あり)
- 期間:少なくとも8~12週間
- 種類:多関節運動(立ち上がり運動などの機能的動作を重視)

運動初心者やトレーニングに消極的な人には、週1回のプログラムでも、8~12週(2~3ヶ月)の期間を行うことで、筋力が向上する効果が見込めるようです。
ただし、トレーニングが3ヶ月を経過したり、より大きな筋力や筋肉量の向上を目標とする場合は、週2回以上の複数回の頻度を推奨しています。
対象者が「運動初心者やトレーニングに消極的な人」と限定的ですが、週1回の頻度でも筋力トレーニングの効果が期待できるようです。
また、Nuzzoらは、2024年に健常者の筋力向上における最小量の筋力トレーニング戦略を紹介しています6)。
筋力トレーニング頻度の最小量戦略は以下が挙げられます。
週末戦士(Weekend Warrior; WW):毎週1回(あるいは2回)の頻度で十分量の運動を行う

週末戦士は、1週間の運動頻度を最小量にした活動スタイルです。
トレーニング頻度が少ない代わりに、1回のトレーニング時間を長くする場合もあります。
週末戦士は、仕事など忙しい人でも運動時間を確保しやすいスタイルであり、トレーニング効果も科学的に証明されています。
Nuzzoらは、筋力トレーニングの最小戦略をまとめており、週末戦士による運動効果を以下のようにまとめています。
- レジスタンス運動を行っていない人は、週1回のトレーニングによって非運動者より筋力など体力指標が改善する
- 週末戦士は運動をしていない人への最小負荷アプローチであり、特定の日に運動時間が確保できる人に適したアプローチ

週1回のトレーニングである週末戦士でも、筋力の向上が図れることを示しています。
ただし、対象が「運動していない人」とされており、運動初心者や運動をしていない人に限られる可能性はあるかもしれません。
週末戦士は、最小量のトレーニング戦略であり、初期の介入や行動変容を起こすきっかけに効果があるとNuzzoらは述べています。
トレーニングを開始する導入として、週末戦士の活動パターンから始めるのもよいでしょう。
また週1回の筋力トレーニング頻度は、筋力や身体機能を維持するための最小量の運動であることが報告されています。
Spieringらは、筋力や持久力を長期に維持するための最小限の運動量に関して、以下のようにレビューを述べています7)。
- 筋力に関しては、(1週間の)トレーニング強度と量が維持されていれば筋力トレーニングの頻度を週2~3回を週1回に減らしても維持や向上は可能
- 筋力に関しては、トレーニングを週1回にしても8~32週間は維持できる
- パフォーマンス(スプリント能力)に関しては、週1回の筋力トレーニングで12週間は維持できるが、週1回未満では維持できなかった
筋力やパフォーマンスに関しては、筋力トレーニングの頻度が週1回でも維持できることを示しています。
しかし、筋肉量に関しては以下のように述べられています。
- 若年者(20~35歳)は、週1回の筋力トレーニングで筋肉量の維持が可能
- 高齢者(60~75歳)は、週1回の頻度では筋肉量の維持は難しい場合がある
- 高齢者の筋肉量を維持するためには、週2回の筋力トレーニングが推奨

筋肉量に関して、若年者は週1回の頻度でも維持できますが、高齢者では週1回では維持できない場合もあるようです。
高齢者の筋肉量の維持には週1回の筋力トレーニングでは不十分な可能性があり、週2回以上の頻度にした方が良いでしょう。
週1回の筋力トレーニング頻度でも、筋力やパフォーマンス、若年者の筋肉量は維持できるようです。
しかし、高齢者の筋肉量は週1回のトレーニングでは維持が難しい場合があり、トレーニングの目的や対象者によって、トレーニング頻度を調整する必要がありそうです。
また、地域高齢者における週1回のトレーニング効果を検討した調査があります。
Aartolahtiらは、75歳以上の地域高齢者を対象に、週1回の筋力やバランストレーニング効果を調査しました13)。
結果は以下の通りです。
- 週1回のトレーニングを2年間行った結果、男性の5回立ち上がりテストと女性の膝伸展筋力、最大歩行速度、5回立ち上がりテストが有意に向上した
- トレーニング終了後1経過しても、女性の膝伸展筋力と最大歩行速度、立ち上がりテストはベースラインよりも高かった

地域高齢者において、週1回の筋力やバランストレーニングを2年以上継続すると、筋力やパフォーマンス能力の維持向上ができることを報告しています。
ただし、男性では筋力やパフォーマンスの有意な向上は認めず、対象者の性別や身体能力が関わっているかもしれません。
筋力トレーニングの効果に1週間の頻度はどれだけ影響する?
ここでは、1週間の筋力トレーニング頻度がトレーニング効果にどのくらい影響するのか解説します。
結論は以下の通りです。
- 筋力トレーニングの頻度は筋力の向上に関わる要素
- 1週間のトレーニング量(強度やセット数)を同じ場合、高頻度トレーニングと低頻度トレーニングで効果に差はない
- 1週間の頻度よりもトレーニング量の方が筋力の向上に影響する
Mcleodらは、健康成人における筋力トレーニングの効果に影響する要素に関して系統的レビューで調査しました8)。
筋力や筋肉量に関わる要素は以下の通りです。
筋力の向上に関わる要素:強度、セット数、週の頻度
筋肉量の向上に関わる要素:セット数

1週間のトレーニング頻度は、筋力に関わる重要な要素であることが示されています。
また、Ralstonらは筋力トレーニング頻度の影響に関してメタ解析にて調査しました9)。
18~75歳を対象とした12研究、299名から解析しています。
結果は以下の通りでした。
- トレーニング頻度が高頻度の方が低頻度よりも、運動効果が高い傾向はあるが、有意差を認めなかった(効果量の差ES 0.09、95%CI -0.06~0.24、p=0.25)
- 週のトレーニング量を等しくすると、低頻度と高頻度で筋力の向上効果は同程度であり、有意差を認めなかった(効果量の差 ES0.03、95%CI -0.20~0.27、p=0.78)

筋力トレーニングの量を等しくした場合、1週間の頻度は筋力の向上効果に影響を与えない可能性を示唆しています。
ただし、「この調査は質の高いデータが不足しており、筋力トレーニング頻度が筋力に影響を及ぼすかについては依然として不明な点がある。」と述べており、結果の解釈には注意が必要かもしれません。
さらに、トレーニング頻度と効果の関係について、Nuzzoらはレビューから以下のように述べています6)。
筋力トレーニングの頻度が高いほど、筋力・筋量の増加は大きくなるが、一定した運動量では異なる頻度による筋力・筋量増加の差は消失する。
つまり、トレーニング量が一定であれば、週の頻度による影響は少ないことを示唆しています。
また、Grgicらも筋力トレーニングにおける頻度の影響を系統的レビューとメタ解析にて調査しました10)。
以下、結果となります。
- 筋力トレーニングの頻度は筋力の向上に有意な効果を示した(p=0.003)
- 筋力トレーニングの運動量を等しくした場合、運動の頻度は筋力の向上に有意な効果を示さなかった(p=0.42)

Grgicらも、トレーニング量が同じ場合では、運動の頻度の影響が少ないという結論でした。
以上のことから、筋力トレーニングの効果に影響する重要な要因は、
頻度よりも1週間のトレーニング量(運動強度とセット数)であることが考えられられます。
1週間の頻度が少なくても、トレーニング量が十分であれば筋力向上が図れるということです。
1週間のセット数と筋力向上の効果に関して、
Ralstonらは、1週間のトレーンングセット数から低・中・高の3パターンに分けて、セット数の影響をメタ解析にて調査しました11)。
結果は、以下の通りです。
- 低セット(ES 0.82)より高セット(ES 1.01)の方が効果は大きかった(ES差 0.19)
- 低セット(ES 0.83)より中セット(ES 0.98)の方が効果は大きかった(ES差 0.15)

筋力トレーニングの効果は、1週間のセット数が多い場合は、少ない場合よりも筋力の向上効果が大きいことが明らかとなっています。
筋力トレーニングの効果には、1週間の運動強度とセット数=トレーニング量が大切です。
そして、トレーニング頻度は1週間の筋力トレーニング量を増やすためには重要になります。
1週間のトレーニング量を増やすため、1日のセット数を増やすよりも、
1週間の頻度を増やした方が1日で行うセット数が減るため、心理的・身体的にも負担が少ないでしょう。
Baxterらも、運動頻度が週2回と比べて、週1回では自覚的運動強度が有意に高くなったと報告があります12)。

そのため、1週間のトレーニング量を増やすためにも、頻度を増やすことが重要です。
ちなみに、トレーニング量を増やす場合、反復回数を増やすよりも、セット数を増やしましょう。
理由として、反復回数は運動強度との関連で設定されるため、トレーニング量を増やす目的で変動することはお勧めできません。
運動強度と反復回数の関係については、別記事で解説しています。
まとめ
ここまで、筋力トレーニングにおける1週間の頻度の影響について解説しました。
- 筋力の向上を目的とする筋力トレーニングは1週間に2~3回が推奨
- 筋肉量の向上を目的とする筋力トレーニングは1週間に2~3回が推奨
- ACSMより細胞/分子適応の観点から、同部位の筋力トレーニングは48~72時間の休息を推奨
- 運動初心者や運動をしていない人では、週1回の筋力トレーニングでも筋力や筋肉量の向上が図れる
- 運動初心者やトレーニングに消極的な人では、トレーニング開始の導入として週1回のトレーニング頻度も推奨される
- 週1回の筋力トレーンニングでも、8~32週間は筋力を維持、12週間はパフォーマンスを維持できる
- 筋肉量に関して、週1回の筋力トレーニングでは若年者は維持できるが、高齢者では維持が難しい場合がある
- 筋肉量の維持を目的とする場合、高齢者では週2回のトレーニング頻度が推奨
- 1週間のトレーニング量(強度やセット数)を同じにすると、1週間の頻度はトレーニング効果に影響しない
- 筋力トレーニングの効果に影響する要因は、1週間の頻度よりもトレーニング量(運動強度とセット数)が重要
- 1週間のトレーニング頻度を増やすことで、セット数を増やしやすく、高いトレーニング効果が得られる
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
筋力トレーニングの一つであるパワートレーニングについては別記事でまとめています。
参考資料
- World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. /WHO身体活動・座位行動ガイドライン2020(日本語版)
- Carol Ewing Garber, et al. American College of Sports Medicine position stand. Quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory, musculoskeletal, and neuromotor fitness in apparently healthy adults: guidance for prescribing exercise. Med Sci Sports Exerc. 2011.
- Borde, et al. Dose-Response Relationships of Resistance Training in Healthy Old Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2015.
- Brad S Currier, et al. Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis. Br J Sports Med. 2023.
- David G Behm, et al. Minimalist Training: Is Lower Dosage or Intensity Resistance Training Effective to Improve Physical Fitness? A Narrative Review. Sports Med. 2024.
- James L Nuzzo, et al. Resistance Exercise Minimal Dose Strategies for Increasing Muscle Strength in the General Population: an Overview. Sports Med. 2024.
- Barry A Spiering, et al. Maintaining Physical Performance: The Minimal Dose of Exercise Needed to Preserve Endurance and Strength Over Time. J Strength Cond Res. 2021.
- Jonathan C Mcleod, et al. The influence of resistance exercise training prescription variables on skeletal muscle mass, strength, and physical function in healthy adults: An umbrella review. J Sport Health Sci. 2024.
- Grant W Ralston, et al. Weekly Training Frequency Effects on Strength Gain: A Meta-Analysis. Sports Med Open. 2018.
- Jozo Grgic, et al. Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2018.
- Grant W Ralston, et al. The Effect of Weekly Set Volume on Strength Gain: A Meta-Analysis. Sports Med. 2017.
- Brett A Baxter, et al. Effects of once- versus twice-weekly eccentric resistance training on muscular function and structure in older adults: a randomised controlled trial. Sci Rep. 2024.
- Eeva Aartolahti, et al. Long-term strength and balance training in prevention of decline in muscle strength and mobility in older adults. Aging Clin Exp Res. 2020.
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