【大腿骨骨折】自宅退院の目安はFIM運動項目60~69点【ADL評価】

評価
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今回は入院患者さんの自宅退院指標についてです。

「ADLが上がってきたけど、自宅に退院できる?施設方向の方がよい?」

「どれくらいのADLがあれば自宅に帰れるの?」

こんな質問をされたので、調べてまとめてみました!

もちろん退院の方針はリハビリだけで決められるものではないですが、

自宅退院がADL能力として可能なのかを評価することはリハビリの重要な役割です。

今回はいくつかの研究データから、高齢な大腿骨骨折患者の自宅退院指標についてお話します。

結論として、

大腿骨骨折で入院した患者さんの自宅退院できる指標は、FIM運動項目60~69点である

です。

脳血管疾患の自宅退院とFIMについては別の記事で紹介しています。

FIM運動項目

FIM(Functional Independence Measure)はADLの自立度を評価するスケールです。

具体的には、1点(全介助)~7点(完全自立)の7段階で各ADL項目を評価します。

すべて自立なら満点で126点、全介助だと18点。

FIMの項は、13項目の”運動項目”5項目の認知項目”の合計18項目あります。

運動項目は以下の通りです。

  • 食事
  • 整容
  • 清拭
  • 更衣上半身
  • 更衣下半身
  • トイレ動作
  • 排尿管理
  • 排便管理
  • ベッド・椅子・車椅子移乗
  • トイレ移乗
  • 浴槽・シャワー移乗
  • 歩行・車椅子
  • 階段

13項目で13~91点をとります。

FIMに関しては、別記事でも紹介しています。

大腿骨骨折患者の自宅退院と退院時FIMスコア

大腿骨骨折を呈した患者の自宅退院には、FIM認知項目や握力などの身体機能が関係していますが、

FIM運動項目の方がより強く関連しています

そして、高齢な大腿骨骨折患者の自宅退院に関してカットオフ値の報告から、

自宅退院のカットオフFIM運動項目60~69点です

自宅退院とFIM運動項目については、以下のような報告があります。

大腿骨骨折で手術した患者でカットオフ値は69点 (Suzuki, 2020)

整形外科と内科を主要因として入院した患者でカットオフ値は60点 (Ohta, 2021)

台湾の報告ですが、股関節骨折をした117,168名ではカットオフ値は58点 (Wang, 2014)

ちなみに、

Suzuki先生らの報告では437名、Ohta先生らの報告では783名のビックデータで調査しています。

人数も多く、対象者が日本人なので、社会サービスや退院の考え方も近いものがあるため、

カットオフ値は臨床的に参考になる数値と考えます。

FIM運動項目60~69点の解釈

ちなみに、自宅退院の目安で60~69点って低いと思いませんでしたか?

FIM運動項目が、仮に13項目すべての項目で修正自立(6点)だとすると、78点になります。

すべて監視・準備が必要レベル(5点)だとすると、65点。

つまり、60点台はそこまで自立度が高くない状態です。

環境設定やヘルパーやデイサービスなど社会的なサービスを利用することで、

自宅生活が可能になることが示唆されていますね。

ある程度の経験を積んだセラピストは知っていることですが、

自宅退院には、必ずしも、自立(修正)レベルまでADL能力を上げる必要はなく

介護力や環境、社会サービスを上手に使うことが必要な能力ですね。

ちなみに、

FIM運動項目の中でも、排泄コントロール移乗移動の項目が特に自宅退院と関連するというデータがあります。

実際に、ソーシャルワーカーさんや看護師さんから

「トイレが自分で出来るなら、家族が受け入れOKです!」

と言われた経験がある人もいると思います。

当たり前ですが、FIM運動項目のスコアを上げることが目的ではなく、

自宅生活に必要なADL能力がなにか情報収集を含めて調査して、

ADL能力向上を図ることが大切です。

FIM運動項目60~69点は指標になりますが、

あくまでも指標の一つということは忘れない方がよいと思います。

FIMスコアが上がらなくても退院を目指す方法

担当している患者さんのADL能力が上がらない、もしくはかなり時間がかかりそう。

そんなケースを経験したことはないでしょうか。

そんな時に何をしたら良いのか?

最も重要なことは、

病棟看護師さん、ソーシャルワーカーさん、担当ケアマネージャーさんと連携して、環境や社会サービスを準備することです。

ソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんは、

レンタル用品や入浴サービス、デイサービス、ヘルパー利用などの直接的な準備を進めてくれます。

特に新人の時は、どうやって連携したらよいかわからない人もいますが、

自宅退院の方針だけど、現在の状態では難しいと思ったら、必ず相談するようにしましょう

具体的な連携とは、「情報の確認」と「情報の提供」です。

連絡した方がよい内容としては、

確認する内容の例

  • 退院先に関するご家族の意向
  • 介護者の人数
  • 日中は独居になるか
  • 入院前の社会サービス利用(デイサービスや訪問、etc)
  • 今後の社会サービス利用(用品のレンタル可否も含めて)
  • どんな状態なら自宅に帰れるか

などです。

他にも、食事の準備やPトイレ利用者ならPトイレ内の破棄など、

患者さんが必要なサポートによって確認する内容は異なります。

次に、こちらから伝えることは

情報提供の例

  • 食事の際の介助量(一人で食べれるか)
  • 自宅内の移動方法と安全性
  • トイレまで歩けるか(移動方法)
  • トイレ動作時の介助量(ズボンの上げ下ろしを含めて)
  • 入浴できるか(できない場合はデイサービスの利用など)

などです。

つまり、FIMでどの項目で介助が必要か、

そして、どれくらいの介助もしくは環境なら出来そうかを伝えます。

例えば、

「今の段階では4輪歩行器がないと、自室からトイレまで移動が困難です。
 自宅で歩行器が使えればトイレも自力で可能だと思います。」

と相談すると、

1. 歩行器のレンタルが可能か?
2. 自宅は歩行器を使える広さがあるか?
3. 歩けないならPトイレの使用するか?

などを検討して、具体的に必要な物品やサービスを準備していきます。

自宅退院に必要な環境や能力は個人差が大きいです。

ADL能力が低い状態でも、介護者や環境により自宅生活が可能なこともあります。

もちろん、自宅退院が必ず良いという訳ではないですが

「能力が改善しないから自宅に戻れない」と決めつけず、

別の手法も検討してみましょう。

まとめ

  • 高齢な大腿骨骨折患者の自宅退院に重要な要素はFIM運動項目
  • 自宅退院の指標はFIM運動項目60~69点
  • ADL能力が低くても、連携により自宅退院を目指せることもある

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