下腿最大周径による低栄養スクリーニング:男性30cm,女性29cm

評価
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栄養状態の評価は生命予後や入院期間、QOLに関わる重要な要素です。

リハビリは患者さんと直接触れ合う時間が長いため、

栄養士さんや看護師さんとは異なる視点で情報を得る機会があります。

今回は、リハビリが気がつきやすい栄養状態のスクリーニング、

“下腿最大周径(cm)”を紹介します。

下腿最大周径に関して、筋肉量と関係することを別の記事で紹介してるので興味がある方はご覧ください。

下腿最大周径は筋肉量だけでなく、全身状態を示す評価であり、栄養状態と関わることが論文によって報告されています。

この記事は、いくつかの論文データをから下腿周囲長と低栄養の関係を紹介します。

結論は以下の通りです。

下腿最大周径による低栄養の指標として,

男性30cm未満,女性29cm未満

この記事を読むことで、簡単に低栄養のスクリーニングをすることができます。

入院患者さんはもちろん、外来や訪問、地域予防活動など幅広い場面で活用ができるので、

最後までのお付き合いをお願いします。

栄養スクリーニングは低栄養の人をみつけること

栄養アプローチの一連の流れは図のようになっています。

栄養スクリーニングは一番最初のプロセスであり、

すでに栄養障害に陥っている人やそのリスクがある人を抽出する作業です。

スクリーニングに引っかかった人は、栄養アセスメントで詳細に評価してプランニングにつなげるという流れです。

下腿最大周径は、早い!簡単!に実施できる点でかなり優秀なツールです。

他の栄養スクリーニングに関しては別記事にもまとめています。

下腿最大周径の測定方法

下腿最大周径の方法は別記事でも紹介しています。

簡潔に下腿周囲長を紹介すると、

メジャーを用いて、下腿の最大膨隆部を測定します。

測定する姿勢は背臥位もしくは端坐位で測定します。

原則として、非麻痺側や非障害側で測定し、

2~3回実施して、その平均を測定値とします。

下腿最大周径による低栄養のカットオフ値

低栄養状態を判定する下腿最大周径の目安は、以下の通りです。

男性30cm未満、女性29cm未満

その理由となる論文データを2つ紹介します。

1つ目:入院している高齢者911名を対象としたBonefoyら1)の報告では

低栄養を判定する下腿最大周径のカットオフ値は、

下腿周囲長:30.5cm
男性:感度73.2%、特異度72.8%
女性:感度78.8%、特異度61.1%

という結果でした。

臨床的に解釈すると、

感度:低栄養の人が30.5cm未満の割合
特異度:非低栄養の人が30.5cm以上の割合

「男性で30.5cmを下回る人の73.2%が低栄養であり、30.5cm以上の72.8%が非低栄養。」

というようになります。

2つ目:Zhangら2)は、1,234名で平均87歳(82-90歳)の入院患者さんを対象にした調査で、

NRS-2002スコアという栄養指標を用いています。

NRS-2002が3点以上で低栄養群、3点未満で非低栄養群をとしています。

この研究での低栄養状態を判断する下腿周径のカットオフ値は、

男性:29.8cm 感度75.5%、特異度71.1%

女性:28.3cm 感度65.1%、特異度78.6%

以上のデータから、

男性は29.8~31cm未満女性は28.3~31cm未満

が低栄養状態もしくはリスクが高い状態と判断されています。

臨床で覚えやすい数値にするため、

男性30cm、女性29cmより小さい場合は低栄養リスクがある

と考えます。

この数値は正確なの?という意見もあると思いますが、

目安にはなりますが、この数値だけで判断は難しいと思っています。

下腿最大周径はあくまでも、スクリーニングなので、

低栄養リスクがあると思われる人は詳細にアセスメントをする必要があります。

ただ、カットオフ値がないと目安として使いにくいので、知っておくと臨床で活用しやすいです。

おまけ:下腿最大周径は嚥下障害のスクリーニングにも有用

嚥下機能の評価は慣れないと難しいですが、嚥下障害リスクの有無だけでも把握できれば、

リスク管理や他部署にコンサルトするきっかけになります。

結論として、

下腿最大周径が男性31.0cm未満、女性29.5cm未満は嚥下障害の可能性

Kurosawa先生ら3)は、嚥下障害のスクリーニングツールとして下腿最大周径の有用性を検討しています。

この調査は、日本人を対象としており文化や身長体重などの基本データも日々の臨床と近いです。

対象者は、介護認定を受けた平均80.1±7.1歳の157名で東京都内在住者

嚥下機能評価の方法は、

嚥下障害重症度スケール(DSS)を用いて、DSS 1~4点を嚥下障害あり、DSS ≥5点を障害なしと分類と分類

DSSは摂食嚥下障害を重症度別に7段階に分類しており、4点以下は誤嚥するレベル

結果として、嚥下障害を判断する下腿周囲長のカットオフ値は、

男性:31.0cm、感度81.8%、特異度86.8%
女性:29.3cm、感度76.0%、特異度85.9%

つまり、

下腿最大周径が男性31.0cm未満女性29.5cm未満は嚥下障害のリスクがある

と考えられます。

低栄養の推定基準と近い値ですね。

この報告は、嚥下障害の評価に役立つデータであり、対象者が日本ということもあって面白い研究です!

嚥下障害と意識レベルに関する研究も報告されています。

低栄養をみつけた後のやること3選

スクリーニングで低栄養状態もしくはハイリスクの人をみつけても、

その後、なにも行動しないと意味がありません。

リハビリ職ができることに焦点を当てて3つ紹介します。

低栄養をみつけた後の3つの行動

①栄養士、看護師、医師など他職種との情報共有と連携

②リハビリの運動負荷が低栄養を加速していないか評価

③定期的な栄養状態のモニタリング

大まかですが、この3つが重要です。

この3つに関する詳細な内容はボリュームが大きくなるため、別の記事にまとめています。

まとめ

今回は、下腿周囲長が低栄養を判断する優秀な評価であることを紹介しました。

低栄養リスクは下腿周囲長が男性30cm未満、女性29cm未満

嚥下障害リスクは下腿周囲長が男性31cm未満、女性29.5cm未満

下腿周囲長は筋肉量や全身状態を示す指標であり、多くの情報を得ることができます。

ポケットにメジャーを入れておくことをおススメします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

参考資料

  1. M Bonnefoy, et al. Usefulness of calf circumference measurement in assessing the nutritional state of hospitalized elderly people. Gerontology. 2002.
  2. Xiao Yan Zhang, et al. Low Calf Circumference Predicts Nutritional Risks in Hospitalized Patients Aged More Than 80 Years. Biomed Environ Sci. 2019.
  3. Yukiko Kurosawa, et al. Calf Circumference Is a Useful Index for Assessing Dysphagia among Community Dwelling Elderly Recipients of Long-Term Care. Tohoku J Exp Med. 2019.
  4. 臨床栄養ハンドブック https://nutritionmatters.jp/common/pdf/tools/ClinicalHandbookWithPracticeTools_jp.pdf

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